堅牢でありつつ開放的であること
丘陵地に建つ住宅を建て替えて2世帯が住む重層長屋とする計画。東側は勾配のある歩道と公園緑地に接し、南側は1mほど下がった地盤で畑となっており、西側の前面道路は突き当りに位置しておりこの建物がアイストップとなる。これら3方向へは眺めも良く開放できる反面、周囲からの視線を遮るものがなく人目にさらされすぎる印象を受けた。積極的に開く方向は、将来的に最も環境の変化が少ないことが予想できる公園緑地に面した東側とした。南側は採光のための開口とし、西側は縦長のスリット窓として開口面積を限定した。これに1階ポーチ上部のゲート、1階から3階まで直通する外部階段、東側のテラスのボリュームが取り付くが、これらを連続的な躯体とすることで建物本体を防護する外郭(そとぐるわ)のような働きを持たせた。外郭によって堅牢に守られているという安心感を得ながら外に向けた開放感も同時に感じられることを意識しながら計画を進めた。
- 所在地 :川崎市
- 敷地面積:151.73㎡
- 延床面積:241.12㎡
- 構造規模:RC3階建て
- 竣工 :2023. 2
- 施工 :2022. 1 – 2023. 1
- 設計 :2021. 1 – 2021.12
- 設計監理:山縣洋建築設計事務所
- 構造設計:坂根構造デザイン
- 施工 :光正工務店
- 写真 :Forward Stroke inc.