ラ・ロッシュ邸には今はコルビジェ財団が入り、訪問者はジャンヌレ邸のほうを見学することになる。アプローチ。手前がラ・ロッシュ邸、奥がジャンヌレ邸。1923年、コルビジェ36才の作品。ほぼ北からの立面。円曲した壁面、上部に連続窓。その下のピロティ。手前の柵がなければもっと生き生きと使われると思うが、セキュリティ上難しいのだろうか。玄関ホール。3層吹き抜けていて、階段の踊り場が飛び出していたり、ブリッジが走っている。玄関ドア見返し。ブリッジの左手がダイニング、右手がギャラリー。2階ダイニング。淡いピンクの壁天井に東からの光が入り込む。枠のつかない建具と巾木の仕舞い。ダイニングの奥にブリッジ。ブリッジの東面は一面ガラスサッシでリズミカルな割付。ギャラリーに入る。天井高さに抑揚がついてリズミカル。ギャラリー内部。右手のハイサイドライトから昼の光が差し込み、左手にはスロープ。湾曲する面に取り付くスロープは躍動感がある。ギャラリー見返し。床壁天井の部材ごとに塗装が塗り分けられている。面積が大きいものは薄く、小さいものは濃い目の色彩。スロープの勾配は思いの外きつい。おそらく1/8くらいではないか。スロープを登りきって見返す。歩いて移動するのが楽しくなる空間だ。スロープの先は図書室。図書室から玄関ホールを見下ろす。屋上は屋根が架かっていて、街並みを眺めながら時間を過ごせる。ギャラリーを見下ろす。緑化するのではなく、こうして砂利を敷くだけでも柔らかい印象になる。ジャンヌレ邸を後にして昼食。オーギュスト・ペレのル・ランシーの教会を見るために移動。パリ北駅近くのRERのGare Magenta駅からGare du Raincy 駅へ。駅から北方向に歩いて10分程度。外観は素っ気ない印象だが、無数のステンドグラスが嵌っている。内部空間は声が上がるほど美しい。四周をステンドグラスが覆い、光に溢れている。スレンダーな柱。側廊のアーチは長手方向に架かっていて、柱スパンで繰り返す。身廊と同じ方向でアーチをかけるとスラスト力を抑えるためにバットレスを設ける必要がある。しかしバットレスを設けるスペースがこの狭い敷地にはない。長手方向にアーチを架けた理由がそこにあるのではないかと推察する。入り口は開け放たれていて、チラホラと人が訪れて祈りを捧げ、しばらくして帰っていく。1920年頃に建てられておおよそ100年、鉄筋コンクリート造の先駆けであったこの建築が今でも教会の役割を維持し続けていることに感激。上から光が降り注ぎ人はそれを見上げる、といった本来の教会の光のあり方とは違っていて、人の目線の高さから光で満水にされた中を漂うような空間を体験した。