朝早くに起きてホテルの自転車を借りて向かうのはファン・ネレ工場(Van Nelle)。だいたい40分くらい水路沿いをひたすら走ります。小さな道であっても自転車専用レーンが用意されている上、自動車→自転車→歩行者の順で優先順位が高くなるため安心してサイクリングを楽しめます。

↑船の交通のための跳ね上げ式線路を電車が通っていきます。ここにもロッテルダムらしい合理的な解決が見られます。

ファン・ネレ工場につきました。1931年完成、設計はファン・デル・フルフト(Leendert Cornelis van der Vlugt)とミシール・ブリンクマン(Michiel Brinkman)。タバコ、コーヒー、紅茶の工場として計画されました。現在はそれらの製造は行われておらず、デザインの企業や貸しオフィスやカフェなどとして使われています。

構内の道路の左手がタバコ工場棟で右手が倉庫棟。道路をまたいでガラスのブリッジが架かります。

ガラスとアルミパネルで覆われた外壁。朝日を浴びて輝いて見えます。ガラスのカーテンウォールが使われだしたこの時代にして、すでに高い精度で実現できていることに驚きます。

内部の階段ホールは薄いパステルカラーのタイルが使われています。工場というより学校にいるような気分です。なんというか、瑞々しい空気を建物がまとっているよう。

3階の一部は吹き抜けとなっており、誰でも利用できるカフェがあります。柱の上部はマッシュルーム状に広がっていて、上階の床の荷重を効率よく支える工夫があります。

↑吹き抜けの上部から換気をするためのガラス開閉の機構。

ファン・ネレ工場を後にします。工場として計画されながら、ここで働く人たちが快適で新鮮な気分で過ごせるような理想を求めて作られた建物でした。そうした理想が実現できたからこそ、今でも工場という用途を超えて生き永らえることができているのだと思いました。