ヒルヴァーサムを訪れたもう一つの理由はウィレム・デュドック設計のヒルヴァーサム市庁舎(Raadhuis van Hilversum)を見るためです。ホーイラントホテルから15分ほど、北西方向に歩きます。早朝の閑静な住宅街の中、ガラガラと音を立てる我々のキャリーバッグ。
朝日を浴びて陰影を作る南面のファサード。南側の全体に池を配しています。
外壁は黄みがかった細長のレンガで覆われています。正面の横長の開口は会議室、右手は時計塔。
横長の窓、庇、分節する縦方向のボリューム。どこを切り取ってもウットリしてしまう。
軽やかに浮いた庇。デュドックはフランク・ロイド・ライトの影響を受けているといわれています。なるほど。
水平方向に分節していく感覚とテクニックが素晴らしい。
外構から続く色とりどりのストライプ。
デュドックはヒルヴァーサムの地で70以上の建築を設計し続けたタウンアーキテクトでした。その仕事の軌跡が紹介されたセンターが市役所に併設されています。
3日間のオランダ滞在を終え、ドイツに移動します。予想に反して、というか私の不勉強のため、これほどオランダが近代建築だけではなく我々が携わっている現在の建築に深く影響を与えているとは思ってもいませんでした。訪れた建築のどれもが生き生きとしていて、新しい時代を作る意思にあふれていました。