ローマを出発しミラノに向かう。Roma Termini駅とRoma Tiburtina駅を間違えており、通りすがりの婦人に助けていただき、ギリギリ7:10の出発に間に合う。今回の旅はこうした親切に何度も救われた。そして10時過ぎミラノ着。OMA設計のプラダ・ファンデーションだ。最寄りのMilano Porta Romana駅からは歩いて10分くらい。

途中の中華料理屋で腹ごしらえする
もとは蒸溜所だった建物をコンバージョンしたもので、外周の建物はいじらずに、金色に塗られた内部の建物が顔を出す。とても控えめな面構え。
アプローチ
訪問者もスタッフもみなさんおしゃれ。
それに対して我々は全くの普段着でガラガラを引いてここまでやってきた。
全体のプランが床にはめ込まれている。ロの字型に既存建物が囲っていて、その中にPodium、Cinema、Cisternaといった新しい建物が立っている。Torreは昨日4/20にオープンしたというからかなりの幸運。
チケットカウンター。
地下へ降りて荷物を預ける。チープな素材使いをしながらディテールを徹底している。
中庭に出る。Cinemaと名付けられた建物は東側の一面鏡張り。
対面に建つPodium。持ち上げられた2階のボリューム。
外装材は得も言われぬ素材。おそらく発泡させたジュラルミンではないか。こんなラフな材料を外装材に使って精度良く納める意識や意気込みがすごい。
torre。ギャラリーが積み重なったタワーだ。
既存建物の屋根に穴を開けてエレベーターシャフトを通し、さらに建物全体をつっかい棒のように支持する柱も屋根を貫通している。
手前は常用の階段、ガラスで仕切られた向こうが非常階段。踊り場でつながっている。
階を表示する壁面はピンク色のプラスターボードにパテ処理をしたまま。その前にグレーチングを立てている。チープを大切に扱うとこんなにも見え方が変わる。
ギャラリー内。
巨大なきのこが天井から吊り下がるカールステン・ホラーの作品。
最上階のギャラリー。ミラノの町並みを見渡す。
4m四方くらいの大きさの真っ黒なキャンバス。
これはなんだろう、と皆が覗き込む。
近づいてみると、なんとハエがびっしりと張り付いている。皆一斉にのけぞる。
『A Thousand Years』というダミアン・ハーストの作品で、片方のガラスボックスに餌を置いて蛆虫を羽化させ、繋がれたもう片方のガラスボックスには殺虫灯が設置されているため、ハエはそこで死んでしまう。
そして死んだハエをキャンバスに貼り付ける。なんという生命の蕩尽。倫理観とかどうなっちゃってんだろと思うけど、作品の力が圧倒的。これをキャラリーの最上階に置き、フローリングに直に展示してしまうなんて、プラダすごいとしか言えない。

ミラノ滞在は正味5時間程度で、大聖堂も見ずにトリノへ向かう。