ラトゥーレット修道院の最寄り駅L’Arbresleまでの列車は運休だが、替わりにバスが運行していることをネットで発見し、Gare de Loup 駅へ向かう。タクシー移動だった場合かなりの出費だっただけに胸をなでおろす。

L’Arbresle駅からラトゥーレットまでの道中の丘を徒歩で向かっていると、現地のおじさんが声を掛けてくれて車で送ってくれるという。幸運が続く。ラトゥーレットを訪れるのは2回目で約10年ぶり。それでも僧坊に泊まるのは今回が初めて。

エントランス。コンクリートの控えめなゲート。
右手の受付で僧坊の鍵を受け取る。院内では静かに過ごすこと、特に夜はそれぞれの僧坊で寝るように念を押される。心配無用です。
僧坊内部。粗い吹付けコンクリートを白塗装で仕上げることで陰影が強調されて面白い。
東側に向けられたバルコニー。右から順に、出入りのドア、FIXガラスの下にヒーターが設えてあり、一番左は換気用の小窓。幅1820mmほどにこれだけの快適性を詰め込める。FIXガラスの窓台だけはコンクリートとして、その他はすべて木製。
外を見て歩く。手前の大きなボリュームが礼拝堂。
南側の外観。西に向かった斜面に投げ出されるように建っている。ピロティの柱は南北方向の壁柱で、軽やかに見せている。
1階のアトリウム。
かなり設備を更新したようで、配管が天井を横切る。そのおかげで僧坊の空調は完璧だった。
僧坊の廊下。中庭に向かって水平窓がどこまでも続く。
中庭を見下ろす。屋上緑化がなければさぞ殺風景な見え方だろうと想像する。近代建築の五原則のひとつである屋上緑化が最も効果を発揮しているのがラトゥーレットなのではないか。
傾斜する屋上の下の空間。東に向けられた開口はこの壁面に美しい朝日を落とす。どこにいても、静かで心が落ち着く空間。けして禁欲的なのではなく、楽しさがあって、生きることを励まされているような気持ちになる。
その下に礼聖堂への入り口。
分厚い鉄の扉を開けて中に入る。
聖堂内部。トップライト、ハイサイドライトから光が採られていて、赤、黄、緑の色彩を放っている。
入り口の見返し。
下の階のチャペル。西に下る丘に併せて床に段差がついている。
しばらく待っていると、3人の修道僧が到着しミサが始まる。とても美しい聖歌が残響して空間を掌握してしまう。
ミサを終え、食堂に戻ってきた。左手が西側で、丘の向こうに沈む夕陽を眺めながら夕食をいただく。
今日宿泊する方々と同じテーブルを囲む。スイスの建築家ご一家とオランダ人哲学者。建築家と哲学者の議論に全くついていけず。共用シャワールームでシャワーを浴びて就寝。