マルセイユからスペインに移動する日。8:01マルセイユ発のAVEに乗り、お昼前にバルセロナの北東に位置する街、Gironaに到着。更に駅の地下から発車するバスに乗り換えて1時間、Olotに到着した。ずっと楽しみにしていたRCR Arcchitectsの建築が見られる。

Olotのバスターミナルから少し歩くと街のインフォメーションセンター(Turisme Olot)がある。ここのデザインも秀逸。Arnau estudi d’arquitecturaという、現地の設計事務所によるもの。
スタッフの方にキャリーケースを預かってもらえないか交渉したところ、快く応じてくれた。Les Colsに行くことを伝えると、楽しんできてねと言われる。
更に歩くこと30分、ようやく今日の目的地、Restaurant Les Colsに到着した。予約していた15時になんとか間に合った。
アプローチ。古い屋敷を改装してレストランに転用している。
エントランス。
エントランスの右手には奥行きのある金色の空間が広がる。
宴席用のダイニングルーム。44席が2列でズラッとならぶ。16mのテーブルはスチールを溶接して1枚もののように仕上げている。
既存の石造りの壁を吸音を兼ねて金色に着彩、その手前にねじり曲げたスチールフラットバーを立て、その間にLED照明を仕込んでいる。フラットバーは50mm、40mm、35mmをランダムに手曲げ加工されている。
厨房の様子も覗ける。こちらはステンレスのシルバー一色。
ワインセラー。
金色一色の空間を抜けると建物の裏側にでる。
奥に進むと見えてくるのがバンケット用の施設。結婚パーティーなどに使われるようだ。
屋根が軽やかに架かった空間。スチールのパイプを架け渡し、重力が作る曲線で出来た屋根。
スチールパイプと透過する屋根材が日差しを柔らかくしている。
所々にビニルのカーテンが垂れていて、スリット状の庭を作っている。光の量が微妙に変わる。
光庭は屋根に溜まった雨水を排出する役割も果たしている。ビニルカーテンをわずかに重ねただけで雨水を防ぐディテール。
30mもの距離を架け渡すスチールパイプの端部はこのようにスチールプレートに溶接されている。500mmピッチのパイプの径は110mm、90mm、70mmを使い分けられている。
発明のようなディテールの数々。自然をよく観察すること、実験と実践を繰り返すことの大切さ。
奥には築山に隠れて厨房がある。
厨房内部も自由に見てまわれる。もっとゆっくり見て回りたかったが、コース料理をあまり遅らせても申し訳ないのでレストランに戻る。
我々が通された席。床がスチールのフローリングというハードさ。

本来なら通常のコースをオーダーしたかったところだけど、食事でまた体調を崩したくなかったので、軽めのコースを選択。これがまた感動的だった。

ソバのクラスト
ソバのカナッペ
ネギの炭天ぷら
Santa Pau産ホワイトビーンズのスープ
生アーモンドのロワイヤル
グリーンピースジュース
グリーンピースのさやに乗せたミント
そら豆、ホワイトアスパラガス、人参、ビーツ
卵とトウモロコシ
そら豆、にんにくの芽のグリーンソース和え
クロスカット火山産スイートオニオン
水耕レタスのグリル
カタラン チーズ
人参のペースト ザラメ焼き
羊のカッテージチーズ

全部で16品。すべての皿が野菜メインで構成されていて、その多彩さは食事というよりひとつの体験だった。一皿ごとの味わいと、それが繋がっていくことの物語性のようなものが感じられた。

OlotからGironaに戻って、ジローナ大聖堂の近くのホテルに泊まる。